2004年5月10日月曜日

ヴァージン・スーサイズ

一言で言うと“希薄”な作品。5人姉妹の生き方と重なるような綺麗だが薄っぺらい映像は、どこまでが意図したものか疑問が残る。よく言えば繊細で大胆なカットは、あまり深く考えながら観てしまうと、単に支離滅裂としか受け取れず、それは自殺してしまう少女達にその理由を求めるようなもので辛い。
成長した男の子の回想録として始まったはずの作品が、キャラクターの掘り下げが足りないせいか、話が進むにつれ語り手としての存在感が全くなくなってしまい、結局ラックス(K・ダンスト)だけに焦点が向いてしまったため、入り込めず、切なさとやりきれなさだけが印象に残った。ただ、それらが全て意図されたものだとすれば、すっかり監督の術中に嵌ったわけなのだが。
脇を固める出演陣はさすが。しかし、あの虐待とも取れる軟禁をしてしまう母親はK・ターナーには似合わない。あの体型からして肝っ玉かあちゃんの印象を受けてしまう。静かに壊れていくという点ではJ・ウッズは巧かった。
K・ダンストは『スパイダーマン』のときにはあまり可愛いとは思わなかったが、この作品では綺麗に見える。そういえば、『チアーズ!』のときも可愛らしいと思ったかもしれない。

原題THE VIRGIN SUICIDES
製作年1999
製作国アメリカ
時間98
監督ソフィア・コッポラ
原作ジェフリー・ユージェニデス
脚本ソフィア・コッポラ
撮影エドワード・ラックマン
出演ジェームズ・ウッズ
キャスリーン・ターナー
キルステン・ダンスト
ジョシュ・ハーネット
マイケル・パレ
スコット・グレン
ダニー・デヴィート
A.J.クック
ハンナ・R・ホール

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