構成としては面白いと思うが、観終わってまず頭に浮かぶのは疑問符だけ。広く意味を持たせようとし過ぎて全く無意味になってしまった感じ。残念ながら何の感慨も湧かなかった。巧いんだか失敗してるんだか、判断に苦しむところなんだけど、ショートムービーのオムニバスとして4つの物語を順番に見たほうがすっきりしたような気がする。
結局のところ、言葉や文化の違いなぞ全く関係なく自我がある生き物である以上主観でしかない意思の疎通の難しさを伝えようなんて無茶をするために、その上っ面だけ表現して台詞の間にメッセージを押し込んでしまったところに失敗があったのではないだろうか。「伝えるのが難しいから感じろ!」と言わんばかりの演技が延々と続くのだから、観ているほうがそれなりに受け止めようとしない限り全く意味をなさない。
当時菊池凛子が話題になっていたが、彼女の演技と言うよりは、画面の風合いから他とは違う日本パートの浮き具合が印象に残った。全体的に地に足の着いてない展開なんだけど、(なんちゃってな表現や設定はともかく)日本パートだけじっとりした雰囲気が流れていると思う。これは単に同族だからかもしれないが。
原題 | BABEL |
製作年 | 2006 |
製作国 | アメリカ |
時間 | 143 |
監督 | アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ |
脚本 | ギジェルモ・アリアガ |
撮影 | ロドリゴ・プリエト |
出演 | ブラッド・ピット ケイト・ブランシェット ガエル・ガルシア・ベルナル 役所広司 菊地凛子 二階堂智 アドリアナ・バラーザ エル・ファニング ネイサン・ギャンブル ブブケ・アイト・エル・カイド サイード・タルカーニ ムスタファ・ラシディ アブデルカデール・バラ |