2004年3月12日金曜日

シービスケット

実話に勝るドラマはない。世界恐慌時代を背景に、チャンスさえあれば、と願う人々に目の前で起きた奇跡はどれほどの勇気と希望を与えたのだろうか。
淡々と進むストーリーの中で、やんちゃなレッド(T・マグワイア)やシービスケットに亡くした子供を重ねるハワード(J・ブリッジス)が痛々しくもあり、彼の父親としての愛を感じた。ラストの展開は判っているからこその安心感。下手に盛り上げようとしないのが良かった。1番印象に残ったのはジョージ(G・スティーヴンス)のレッドに対する友情。“心が砕かれるよりも足を砕く方を選ぶ”という台詞とラストに併走するシーン。
T・マグワイアは『スパイダーマン』でイメージが固定するのを嫌ったそうだが、無用の心配だろう。J・ブリッジスは一瞬ウィリアム・ハートと間違えたのだが、全然違うね。『タッカー』の印象が強かったが、良い歳の重ね方をしてる。派手さはないが、落ち着いた良い俳優。1番気に入ったのは、実況のマクゴッコリン(W・H・メイシー)。

原題SEABISCUIT
製作年2003
製作国アメリカ
時間141
監督ゲイリー・ロス
原作ローラ・ヒレンブランド
脚本ゲイリー・ロス
撮影ジョン・シュワルツマン
出演トビー・マグワイア
ジェフ・ブリッジス
クリス・クーパー
エリザベス・バンクス
ウィリアム・H・メイシー
ゲイリー・スティーヴンス

2004年3月11日木曜日

あずみ

まぁなんつーか。期待なんて全くしてなかったから、まだショックは薄い。原作は好きだ。所詮ハナッから2時間枠で映画化なんて無理だと思ってたし。
上戸彩は可愛らしいとは思うが、“強い”刺客を演じるにはちょっとね。その他の有象無象も印象薄すぎ。役名と顔が一致しないままに中盤まで一気に進んだ。せっかくドタバタのコメディ仕様にするのなら、スーパーインポーズでもしたほうが良かった。伊武雅刀とか竹中直人の登場シーンで劇画タッチのアニメと役名入れたらかなりインパクトあって面白かったと思うんだけどなぁ。
殺陣に関しては何も言うまい。監督はまともに迫力だそうとは思わなかったんだよね、ね。いや、やろうとして出来なかったが正しいのだろうか。一生懸命なのは良いけど、無意味なというか余計な編集と小手先のカメラワークとチープなCGではごまかしきれないよ、あれじゃぁ。
コメディならコメディと割り切って撮って欲しかった。変に間の長いシリアスなシーンが入るもんでダレる。あぁ、もうちょっと・・・でオアズケを食らってる感じ。脇を固める俳優たちのおかげで最後まで観れた感が否めない。そうそう、オダギリジョーのキレッぷりは良かった。それにしてもまだまだ見せ場を作れたのにね。
腹が立つより呆れた。せっかく最近は(ホラー系で)邦画が面白くなってきたと思っていたのに。これじゃぁ『RED SHADOW -赤影-』の方がよっぽど割り切ってて面白かった。

原題あずみ
製作年2003
製作国日本
時間142
監督北村龍平
原作小山ゆう
脚本水島力也
桐山勲
撮影古谷巧
出演上戸彩
小栗旬
成宮寛貴
小橋賢児
金子貴俊
原田芳雄
オダギリジョー
竹中直人
松本実
岡本綾

2004年3月10日水曜日

ウィラード

『チャーリーズ・エンジェル』でキレた役を演じてたC・グローヴァーだが、やっぱり『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でのパパのイメージが離れない。キレると怖い気弱な役というのは同じイメージでもあるが、今回はアクが弱すぎる感が否めない。最初から壊れてるから段々と歪んでいく様が観れなくて怖さの盛り上がりに欠ける。鼠の大群にはゾッとするがそれだけ。
リメイクなので、オリジナルの方が時代的にも怖いんだろうな、と思われる。

原題:WILLARD
製作年:2003
製作国:アメリカ
時間:100
監督:グレン・モーガン
原作:スティーヴン・ギルバート
脚本:グレン・モーガン
オリジナル脚本:ギルバート・ラルストン
撮影:ロバート・マクラクラン
出演:クリスピン・グローヴァー
R・リー・アーメイ
ローラ・エレナ・ハリング
ジャッキー・バロウズ
キム・マッカミー
ウィリアム・S・テイラー

2004年3月9日火曜日

ツインズ・エフェクト

ヴァンパイア物だからか全体的に暗いイメージがあるのだが、適度な軽さとツインズ(G・チュンとC・チョイのアイドルユニット)の可愛さで良い感じに仕上がってる。面白かった。香港のアイドル映画なので、ストーリーよりも“魅せる”ことに重点を置いていることの割り切りが良い。
続編が作られれば観てみたいと思う。

原題THE TWINS EFFECT
千機變
製作年2003
製作国香港
時間107
監督ダンテ・ラム
脚本チャン・ヒンカイ
撮影チョン・マンポー
出演ジリアン・チョン
シャーリーン・チョイ
イーキン・チェン
ジョシー・ホー
アンソニー・ウォン
ミッキー・ハート
エディソン・チャン
ジャッキー・チェン(特別出演)
カレン・モク(特別出演)

2004年3月8日月曜日

セイブ・ザ・ワールド

バカバカしさテンコ盛りの大人のコメディ。最初から最後までスピーディな展開で全く飽きない。これは、ともかくテンポの速いスティーブ(M・ダグラス)と状況に付いて行けずに空回りするジェリー(A・ブルックス)のコンビの為せる技だろう。観ていて小気味がいい。
オリジナルは『あきれたあきれた大作戦(1979)』(未見)だそうだ。こちらはピーター・フォークとアラン・アーキンのコンビだとか。こっちも観てみたい。
プロットとしては特に珍しくもない設定だが、軽すぎず、重すぎず、丁度良い。腰を据えて観る作品ではないものの、暇つぶしにはもってこい。

原題:THE IN-LAWS
製作年:2003
製作国:アメリカ
ドイツ
時間:95
監督:アンドリュー・フレミング
脚本:ナット・モールディン
エド・ソロモン
オリジナル脚本:アンドリュー・バーグマン
撮影:アレクサンダー・グラジンスキー
出演:マイケル・ダグラス
アルバート・ブルックス
ロビン・タネイ
ライアン・レイノルズ
リンゼイ・サルーン
キャンディス・バーゲン
デヴィッド・スーシェ
マリア・リコッサ

2004年3月7日日曜日

ティアーズ・オブ・ザ・サン

なんともまぁ記憶に残らない作品に仕上がってる。時期が時期だけに、アメリカという国が云々、戦争が云々、と言いたくもなるが、そこはそれ。無粋というものです。
テレビ用映画の設定と脚本をそのままハリウッド予算で作ってしまったという印象。救出劇とそこに絡む兵士達の人間味という重いテーマを、ダメ男が一番似合うB・ウィリス(『アルマゲドン』のときは良かった)と難民治療をする女医には見えないM・ベルッチをメインにしてしまったのもイマイチな原因だった気がする。

原題TEARS OF THE SUN
製作年2003
製作国アメリカ
時間118
監督アンドワーン・フークア
脚本アレックス・ラスカー
パトリック・シリロ
撮影マウロ・フィオーレ
出演ブルース・ウィリス
モニカ・ベルッチ
コール・ハウザー
イーモン・ウォーカー
ジョニー・メスナー
ニック・チンランド
チャールズ・イングラム

2004年3月6日土曜日

ハリウッド的殺人事件

コメディともアクションとも言えず、なんとも中途半端。日常感を前面に押し出してる分、連続ドラマ仕様ならウケるのかもしれないが、残念ながらそこまで登場人物が魅力的でもない。キャスティングというより脚本だろう。お互いに副業に熱心なダレた老獪刑事と熱血若手刑事。笑わせるならもう少しチグハグじゃないと・・・。全体的にダレた雰囲気は嫌いじゃないが、その分盛り上がりにも欠けた感がある。

原題HOLLYWOOD HOMICIDE
製作年2003
製作国アメリカ
時間115
監督ロン・シェルトン
脚本ロバート・ソウザ
ロン・シェルトン
撮影ポール・セイダー
出演ハリソン・フォード
ジョシュ・ハートネット
レナ・オリン
マスターP
ブルース・グリーンウッド
マーティン・ランドー
ロリータ・ダヴィドヴィッチ

2004年3月5日金曜日

ジャスト・マリッジ

ありがちなドタバタラブコメディ。面白くないとも思えるが、案外あの軽薄さが良かった。A・カッチャーも魅力的な表情(動きがぎこちなく観えたのは演技だろうか)をするし、B・マーフィもお嬢様にはちょっと見えないが十分チャーミングだった。彼女は『サウンド・オブ・サイレンス』(未見)でシリアスな演技が高い評価を得てるらしいので、そっちも観てみたい。
オープニングにぐぐっと引っ張られただけに、以降少し大人しい感じが勿体無い。どうせやるなら全体的にもっと弾けても良かったと思わせるのが残念。

原題JUST MARRIED
製作年2003
製作国アメリカ
時間97
監督ショーン・レヴィ
脚本サム・ハーパー
撮影スコット・ヒル
ドン・ジマーマン
出演アシュトン・カッチャー
ブリタニー・マーフィ
クリスチャン・ケイン
ヴァレリア
デヴィッド・モスコー
モネット・メイザー

2004年3月4日木曜日

タイム・ライン

M・クライトンの原作は、科学的背景がしっかりしてるからこそ、その内容に現実味が出て面白いのであって、それを端折っちゃうと気の抜けたビールのように途端につまらなくなる。そういう意味で映画化の難しい作品だと思うのだが、それが巧くいっているのは『ジュラシック・パーク』と『ツイスター』以外に知らない。この作品の映画化に当たって、主題をマレク(G・バトラー)とクレア(A・フリエル)とのカップルとクリス(P・ウォーカー)とケイト(F・オコナー)とのカップルのロマンスにしたと聞いたが、それも中途半端になってるし、元々の主題であるタイムトラベルにしても14世紀に行ってしまったということだけで満足してしまっている感があり中途半端。
映画の封切りを我慢できずに原作を先に読んでしまった(しかもかなり面白く読んだ)のが敗因か。予備知識なしで観たらもう少し楽しめた気もする。いや、それにしても過去を舞台とするトラブルと現代を舞台とするトラブルが同じタイムリミットで進む緊張感が面白いのに、それが全く生かされてないのが非常に残念だ。無駄に死ぬ人もいるし・・・。

原題TIMELINE
製作年2003
製作国アメリカ
時間116
監督リチャード・ドナー
原作マイケル・クライトン
脚本ジェフ・マグワイア
ジョージ・ノルフィ
撮影キャレブ・デシャネル
出演ポール・ウォーカー
フランシス・オコナー
ジェラード・バトラー
ビリー・コノリー
アンナ・フリエル
イーサン・エンブリー
ニール・マクドノー
デヴィッド・シューリス

2004年3月3日水曜日

ロード・トゥ・パーディション

色んな意味で綺麗な作品だったというのが印象。ギャング映画だという認識はなかったから、舞台背景に対する違和感は特にない。しかし、子を守る父の姿を“感動的に”・・・という意味では大いに違和感があった。映像は美しい。氷に身も心も閉ざされたオープニングシーンから、サリヴァン親子の距離が縮まるにつれ画面から温かみが感じられるようになる。銀行強盗を続ける辺りでは、ちょっとした笑いを含ませたり、クライマックスでは雨と無音とマイケル(T・ハンクス)の微妙な表情で切なくなったり、ラストシーンでは、先の展開が読めていても息苦しくなったりと、それなりに良かった。しかし、全体的に映像優先で、あっさりと描かれすぎててドラマに重みがない。
原作が『子連れ狼』の翻訳コミックだと聞いた。原題の“PERDITION”には土地の名前の他に“墜獄”“魂の喪失”“滅亡”などの意味があるそうだ。しかし主題であろうはずの、この道を突き進むことを選んだルーニー親子(P・ニューマン、D・クレイグ)とそこから抜け出そうとしたサリヴァン親子(T・ハンクス、T・ホークリン)の対比が、今一つ響いてこなかったのが残念。
T・ハンクスは威厳を出したかったようだが、あのふっくらとした顔からは、威厳も殺し屋としての強さも感じられなかった。逆に痩せた方がシャープさの中にある強さが出て良かったんじゃなかろうか。P・ニューマンは、年老いたなという印象が先に立ってしまった。わざとかもしれないが、全体的にもう一つ存在感が薄い。息子を「呪ってやる」と言いながら抱きしめるシーンは、本来ボスの顔から父親の顔へ大きく変化する重要な場面のはずが落差があまりないままだったのが悔やまれる。J・ロウにしてもサイコぶりは良かったが、それが目立ちすぎていて浮いてしまっている感がある。ストーリー展開上適度な緊張感を持たせる役回りなのだが、目立つ分変に期待して、脚本上、最後まで裏切られてしまった。勿体無い。
突っ込めば幾らでも不満はあるのだが、飽きさせずに最後まで観ることができるのは、メランコリックで綺麗な映像と、多少のミスキャスト感はあるものの、さすがに実力派俳優達の存在感のお陰だろう。

原題ROAD TO PERDITION
製作年2002
製作国アメリカ
時間119
監督サム・メンデス
原作マックス・アラン・コリンズ
脚本デヴィッド・セルフ
撮影コンラッド・L・ホール
出演トム・ハンクス
ポール・ニューマン
タイラー・ホークリン
ジュード・ロウ
ダニエル・クレイグ
スタンリー・トゥッチ
ジェニファー・ジェイソン・リー

2004年3月2日火曜日

シャドウ・オブ・ヴァンパイア

観たことはないが、題名だけは知っている『吸血鬼ノスフェラトゥ』。カルト的古典だけにそれを題材にしていると聞くだけで観たくなってしまう。しかも主演はあのJ・マルコヴィッチとW・デフォーとくれば尚更だ。
観ていると、どこまで真面目でどこから笑いかと悩ませる微妙な脚本と出演者達のこれでもかというくらいの派手な演技。発想からして笑いの要素タップりだ。吸血鬼映画を撮るのに本物の吸血鬼を連れてきてしまった監督と血が欲しくてたまらない吸血鬼とのやり取りはシュール以外の何者でもない。
単純にホラーとして観てしまうとまったく間延びしたつまらない映画にも感じられるかもしれないが、コメディとして最高に面白かった。やはりW・デフォーの怪演とJ・マルコヴィッチの人をくったような演技の見事なミスマッチが笑いを誘う。

原題SHADOW OF THE VAMPIRE
製作年2000
製作国アメリカ
時間93
監督E・エリアス・マーヒッジ
脚本スティーヴン・カッツ
撮影ルー・ボーグ
出演ジョン・マルコヴィッチ
ウィレム・デフォー
ウド・キア
ケイリー・エルウィズ
キャサリン・マコーマック
アデン・ジレット
ロナン・ヴィバート

2004年3月1日月曜日

マネーピット

待ちに待ってたDVD化。『ビッグ』に続くコメディのお気に入り。
一般的にはあんまり評判がよくないみたいだけど、なんでかなぁ。スピルバーグの製作総指揮作品ということで変な期待ばっかり先行でもしたのかな。それでも十分面白かったと思うのだが。
トム・ハンクスの若いこと。やり手の弁護士にはちっとも見えないが、そんなことは関係ないわな。ともかく、家が崩れていくハチャメチャぶりと、それに戸惑うウォルター(T・ハンクス)の表情と仕草は最高。

原題THE MONEY PIT
製作年1986
製作国アメリカ
時間92
監督リチャード・ベンジャミン
脚本デヴィッド・ガイラー
撮影ゴードン・ウィリス
出演トム・ハンクス
シェリー・ロング
アレクサンダー・ゴドノフ
モーリン・ステイプルトン
ジョー・マンテーニャ
フィリップ・ボスコ
ジョシュ・モステル