割りと細かく人物や舞台背景が設定されているのだろうなと思えるところが垣間見えるのに、その辺りの説明的なシーンや台詞をかなりばっさり切り捨てて、子供に深刻な問題を抱える二人の母親の間で揺れ動く一人の男に焦点をしっかり絞っているから、物語には三人に共感するだけの余裕がある。これが、全体に深みを与えているのだろう。一言で言ってしまえばただの浮気物語なんだけど(笑)それにしてもウィル(J・ロウ)の心情と行動は凄く良く理解できるけどきっとあんなに純粋(単純?)では居られない。
J・ロウは『ガタカ』で初めて観たときから良い意味でイメージが変わってない。女ッたらしのマザコンの男前。でもそんな中で軽くも重くも演じ分けるし、これからもっと目に“狂気”が滲んでくるとロマンスだけじゃなくサスペンスやホラーでも活躍すると思うんだけどなぁ。
J・ビノシュって『ショコラ』のヴィアンヌじゃないか。全くキャラクタが違うんで気が付かんかった。可愛らしい人だ。ウィルに“身を捧げる”シーンでは下着の言い訳なんかして・・・くぅ!←バカ
R・ライト・ペンも『フォレスト・ガンプ』の時にはあんなに健康的だったのに、こんなに儚げになっちゃって。演技なんだけど。
ともあれ、それぞれの要素も良質なんだけどそれ以上に脚本が良くて巧いと思う。観賞後にすんなりと飲み込んだのが原題の意味。壊れるから入れるのか、入るために壊すのか。いずれにしても一つの真理だろう。
原題: | BREAKING AND ENTERING |
製作年: | 2006 |
製作国: | イギリス アメリカ |
時間: | 119 |
監督: | アンソニー・ミンゲラ |
脚本: | アンソニー・ミンゲラ |
撮影: | ブノワ・ドゥローム |
出演: | ジュード・ロウ ジュリエット・ビノシュ ロビン・ライト・ペン マーティン・フリーマン レイ・ウィンストン ヴェラ・ファーミガ ラフィ・ガヴロン ポピー・ロジャース ジュリエット・スティーヴンソン キャロライン・チケジー |