2008年4月30日水曜日

こわれゆく世界の中で

退廃的で美しくて切なくて・・・音楽も映像も脚本も計算しつくされているようでいて案外大雑把な感じもして。J・ロウ、J・ビノシュ、R・ライト・ペンのそれぞれの個性がウィル、アミラ、リヴにぴったりでこれはキャスティングが巧いんだなと思ったり。
割りと細かく人物や舞台背景が設定されているのだろうなと思えるところが垣間見えるのに、その辺りの説明的なシーンや台詞をかなりばっさり切り捨てて、子供に深刻な問題を抱える二人の母親の間で揺れ動く一人の男に焦点をしっかり絞っているから、物語には三人に共感するだけの余裕がある。これが、全体に深みを与えているのだろう。一言で言ってしまえばただの浮気物語なんだけど(笑)それにしてもウィル(J・ロウ)の心情と行動は凄く良く理解できるけどきっとあんなに純粋(単純?)では居られない。
J・ロウは『ガタカ』で初めて観たときから良い意味でイメージが変わってない。女ッたらしのマザコンの男前。でもそんな中で軽くも重くも演じ分けるし、これからもっと目に“狂気”が滲んでくるとロマンスだけじゃなくサスペンスやホラーでも活躍すると思うんだけどなぁ。
J・ビノシュって『ショコラ』のヴィアンヌじゃないか。全くキャラクタが違うんで気が付かんかった。可愛らしい人だ。ウィルに“身を捧げる”シーンでは下着の言い訳なんかして・・・くぅ!←バカ
R・ライト・ペンも『フォレスト・ガンプ』の時にはあんなに健康的だったのに、こんなに儚げになっちゃって。演技なんだけど。
ともあれ、それぞれの要素も良質なんだけどそれ以上に脚本が良くて巧いと思う。観賞後にすんなりと飲み込んだのが原題の意味。壊れるから入れるのか、入るために壊すのか。いずれにしても一つの真理だろう。

原題:BREAKING AND ENTERING
製作年:2006
製作国:イギリス
アメリカ
時間:119
監督:アンソニー・ミンゲラ
脚本:アンソニー・ミンゲラ
撮影:ブノワ・ドゥローム
出演:ジュード・ロウ
ジュリエット・ビノシュ
ロビン・ライト・ペン
マーティン・フリーマン
レイ・ウィンストン
ヴェラ・ファーミガ
ラフィ・ガヴロン
ポピー・ロジャース
ジュリエット・スティーヴンソン
キャロライン・チケジー

2008年4月27日日曜日

クローバーフィールド/HAKAISHA

これは絶対に映画館で観る方が良い。面白いと思うかどうかは別にして全編ホームビデオのブレる映像から伝わるあの迫力と緊迫感はテレビでは感じないと思われる。ずいぶんと不評もあるようだけど、『ブレアウィッチ』と『グエルム』を足して『宇宙戦争』と『サイン』で割ったようなこの作品は、巧くできていると思う。あ、『スターシップ・トゥルーパーズ』風味もあるか。最初から最後まで蛇足的な説明を一切省いて“編集されていない記録映像を観ただけ”という設定の潔さは良かった。一緒に観た友人たちは説明不足に物足りなさを感じていたようだが、そこは中途半端に後日談なんかのカットが入るとせっかくのドキュメンタリー要素がなくなってしまい一歩引いてしまうことで緊張感と現実感がなくなってしまうと思われる。
それにしても思い切ったことをするなと感じたのは、(どこまでがCGなのか分からないが)手間と金の掛かるようなセットとシーンでも、手ぶれでそのほとんどカメラがパンして横切るだけとかにしちゃってること。そりゃ素人のカメラマンが必死に逃げ惑いながらたまたま映ってるだけという設定なんだから当たり前なんだけどね。どうせなら別角度から全編を同時に撮っていて、別の立場から見た同じ映画を作るとかしても面白いと思うが。・・・あ、でもそれじゃただのアメリカ版ゴジラか。でも別版作ってもそこそこ面白くなると思われる伏線というか設定は結構あったしなぁ、あれをあのまま捨てておくのは勿体ない気がする。
突然降ってきた災厄に訳も分からず逃げ惑う。そして理不尽で不条理な“死”が待っているだけ。というちっともカタルシスのない救われない(しかもラストショットがなお一層ため息を誘う)ラストを迎えるあたり(オープニングで匂わせているので別に驚きもしなかったが)アトラクションムービーと言うにはちょっと辛い。でも途中色々とある矛盾や状況的に無理に思えるカメラの向きや挿入される幾つかのカットも観ている間はほとんど気にならない。85分と短めなのも良かったのだろう。
まぁ、御託はともかく映画館で観て良かった。少なくとも1500円位の価値はあったと思う。DVDが発売されたらきっと重箱の隅をほじくるつもりでレンタルするだろう。そのくらいには面白かった。でもオタク的な好みだし趣味だろうからあまりお勧めはしない。

原題:CLOVERFIELD
製作年:2008
製作国:アメリカ
時間:85
監督:マット・リーヴス
脚本:ドリュー・ゴダード
撮影:マイケル・ボンヴィレイン
出演:マイケル・スタール=デヴィッド
マイク・ヴォーゲル
オデット・ユーストマン
ジェシカ・ルーカス
リジー・キャプラン
T・J・ミラー

2008年4月26日土曜日

ブラッド

吸血鬼モノのアクションホラーってゆうふれこみとL・リュー主演ってことで、ちょっぴり期待してたんだけど…やっぱりってゆーかこんなものってゆーか。
まず、ヴァンパイアである意味がない。いや、せっかく特異な設定なんだしもう少し吸血鬼ファンに対するサービスがあっても良かったのじゃないだろうか。これじゃただの猟奇殺人じゃん。それからアクションが・・・ない。いや、非人間なんだからさぁ、もっと飛んだり跳ねたりしようよ。最後まで結構テンポ良く進むので飽きることはなかったけど、芋づる式に死ぬ前にべらべらと次のターゲットの居場所をばらしてしまうってどうよ。敵役は組織立ってるわけでもなく、超人的な頭脳や体力があるわけでもなく、気分が盛り上がる戦いの準備があるわけでもなく、派手な決闘シーンがあるわけでもなく、淡々と復讐劇が進んで行くだけ。それにしてもボーガン一本ごときでやられるなよなぁ。
サスペンスとしてもイマイチ。罠の仕掛けあいや腹の探り合いもないしなぁ。一体この脚本の何が面白くて映画化したんだろう。しかも日本でも単館とは言え劇場公開されるなんて。唯一あるとすればセクシャルなシーンが最初から最後まできっちり盛り込まれていることぐらいだな。L・リューのヌードはきっと代役なんだろうけどね。大体、変にセイディ(L・リュー)やローリンズ刑事(M・チクリス)の苦悩とか描こうとするからどっちつかずになるのさ。もっとホラーなりアクションなり割り切った脚本にすればもっと面白くなるはず。シリーズ化まで考えてるのかどうかわからないが、幾つか伏線が張られたままになっているのが気になるけどまさか、ね。
さて、全編L・リューだったので、それはそれとして堪能した。可愛いところで、ちょい役かと思いきや最後までしっかり絡んだM・チクリスはどこの親父かと思ったら『ファンタスティック・フォー』シリーズのザ・シングなのね。今一歩もの足りない扱いなのはあっちもこっちも同じか。それからラスボスのJ・ダーシーもどっかで観たなと思ったら『エクソシスト ビギニング』の神父だったとは。両極端な役だけど結構似合ってたよ。でも悪役としては全然弱すぎ。C・グギーノだって勿体ない使い方してるよなぁ。
知らなかったけど、マコは映画としてはこの作品が遺作になっていたようで、結構色んな作品で分かりやすい東洋人の代表として活躍していたのに。ま、遺作としては残念な気もしないではないが、冥福をお祈りします。ってゆーかこの人生粋の日本人だったのね。

原題:RISE: BLOOD HUNTER
製作年:2007
製作国:アメリカ
時間:98
監督:セバスチャン・グティエレス
脚本:セバスチャン・グティエレス
撮影:ジョン・トール
出演:ルーシー・リュー
マイケル・チクリス
ジェームズ・ダーシー
カーラ・グギーノ
マリリン・マンソン
マコ
サミーラ・アームストロング
ロバート・フォスター
マーゴ・ハーシュマン
ジュリオ・オスカー・メチョソ
アラン・リッチ
キャメロン・リチャードソン

2008年4月20日日曜日

バイオハザードIII

さて、シリーズ3作目。期待しつつも落胆したくないので、まぁもともと深く考えるタイプの作品でもないだろうから、とにかく気楽に観た。批判的な意見は多いようで、オリジナルのゲームに思い入れのある人には不満だらけなんだろう。だけど案外楽しめた。単純にシリーズ作品として考ると、他の成功事例のように、設定のみを引き継いで場面の性格を変えていくという手法で「ああ、またか…」という落胆は防げていると思う。もはやゾンビ映画と言えるかどうかはともかく。
観てると『マッドマックス2』をベースにしたのかと感じていたが、DVDにあった監督のコメントを聞いてそのまんまだったことにびっくり。メインターゲットである若い世代には目新しいのかもしれないが、オリジナルにあったあの圧倒的な負の迫力には到底物足りず、雰囲気だけを取り込んだことで深みに欠けるのが残念だ。続編も構想にあるようだけど、すっかりゲームの世界観からは外れてしまった上にラストシーンで見せたあの状態から広げた風呂敷をどうやってまとめるんだろう。今度は『マトリックス』をベースにするんだろうか。いずれにせよ、本来のホラー色を取り戻して欲しいと願うばかりだ。
今回一番不思議だったのが、前作で良いポジションにいたジル(シエンナ・ギロリー)とアンジー(ソフィー・ヴァヴァスール)が何の説明もほのめかしもなく出演していないこと。前作でせっかく意味深なラストシーンを見せたのに。もしかしてこの2と3の間を埋めるサイドストーリーをアニメで作ろうとしているとか?あ、それは正に『マトリックス』シリーズでやったことか(笑)
ところで、M・ジョヴォヴィッチのアクションが好き。単純にカッコいいと思う。作品としてはイマイチでもこれだけで観てて楽しい。そういう意味で目まぐるしく切り替わるアクションシーンも嫌いではないが、もう少し尺の長いカットを幾らか混ぜて欲しいものだが。個人的には体の切れが良い間にもう何本かアクション映画に出演して欲しいものだ。
もう少し活躍して欲しかったのがA・ラーター。彼女は『ファイナル・デスティネーション』からのファン。最近はTVドラマ『HEROES』に出ているがもっとがんばって欲しい。

原題:RESIDENT EVIL: EXTINCTION
製作年:2007
製作国:アメリカ
時間:97
監督:ラッセル・マルケイ
脚本:ポール・W・S・アンダーソン
撮影:デヴィッド・ジョンソン
出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ
オデッド・フェール
アリ・ラーター
イアン・グレン
アシャンティ
クリストファー・イーガン
スペンサー・ロック
ジェイソン・オマラ
マイク・エップス

2008年4月16日水曜日

幸せのレシピ

想像していたよりも重いパートがあって途中挫けそうになった。単に観たときの気分なんだけど。全体的にも軽いロマンティックコメディではなくて、かといってドラマと言い切るには骨太でもなく。勝手な期待感として“料理(とそのレシピ)”を人生に絡ませたコメディ風味のドラマだったので少し不満が残るところだが、ラストでは予想通りの結末を迎え溜飲を下げた。型どおりとは言え、こういうタイプの映画はやっぱり幸せ感を求めて観るわけだからね。
C・ゼタ=ジョーンズのイメージはスマートで強い人だったんだけど、今回は強いようでいて突然完璧な生活に飛び込んできた子供を四苦八苦するような可愛い女性を演じていて、でも意外にもギャップがなくて本当にキュートだった。相手役のA・エッカートはぴったしともイマイチとも思える不思議な感じ。出すぎず、抑えすぎずという意味では巧いのかもしれないが、もう少し強引さ(鼻持ちならさとも言える)があっても良かった気もする。気になったのがリア役のJ・ウェイド。あまり目立つ経歴はないんだけど存在感があったし、今回も台詞はほとんどないもののケイト(C・ゼタ=ジョーンズ)のレストランにおける基準としてしっかりしていたと思う。もっとメジャー作品に露出して欲しいところ。
舞台はニューヨークなので、画面に映る街並みをみてるとまた行きたいという想いが強くなった。

原題:NO RESERVATIONS
製作年:2007
製作国:アメリカ
時間:104
監督:スコット・ヒックス
脚本:キャロル・フックス
オリジナル脚本:サンドラ・ネットルベック
撮影:スチュアート・ドライバーグ
出演:キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
アーロン・エッカート
アビゲイル・ブレスリン
パトリシア・クラークソン
ボブ・バラバン
ブライアン・F・オバーン
ジェニー・ウェイド

2008年4月14日月曜日

ファンタスティック・フォー:銀河の危機

まさか続編ができるとは思ってなかっただけにびっくり。正直前作もそれほど面白いと思ったわけじゃなく、J・アルバが可愛いなくらいにしか思ってなかった。そして今回もそれほど面白いと思えなかった。キャラクタ造詣もヒーローぶりもアクションも『X-MEN』シリーズには及ばない。せっかくだからもっとコメディ色を強くしたらいいんじゃないだろうか。とはいえ、肩肘張らずに気楽に観れる分、楽しくなかったとは言わない。
それにしてもよくよく考えると彼らは今回の危機に対して一体何をしたのだろうか。そりゃ観覧車の人たちは助けたかもしれない。また様々な機器を作ったかもしれないが、それはヒーローとしてではなくて一科学者としてのリード(I・グリフィズ)の能力であって彼らの存在意義は薄い。しかも道々車はひっくり返すわビルは倒壊させるわ、挙句の果てにあんな結末って…。そりゃニュースでも茶化されるわな(笑)
一体、原作のコミックってどんな位置づけなんだろう。

原題:4: Rise of the Silver Surfer
製作年:2007
製作国:アメリカ
時間92
監督:ティム・ストーリー
原案:ジョン・ターマン
マーク・フロスト
脚本:マーク・フロスト
ドン・ペイン
キャラクタ創造:スタン・リー
ジャック・カービー
撮影:ラリー・ブランフォード
出演:ヨアン・グリフィズ
ジェシカ・アルバ
クリス・エヴァンス
マイケル・チクリス
ダグ・ジョーンズ
ジュリアン・マクマホン
ケリー・ワシントン
アンドレ・ブラウアー
ザック・グルニエ
ローレンス・フィッシュバーン(声)

2008年4月13日日曜日

LOOP ループ

まあなんというか、ある意味意外性があった。途中にこれでもかっとあからさまに散りばめられている意味深な台詞に気が付いていても全く違う結末を想像していた。んー、観終わってから思い返すとまぁ確かにと思える。低予算ホラーとしてはそこそこ。ただ、コンセプトに満足しちゃってる感じなので、プロットは巧いと思うが恐怖の盛り上げ具合がイマイチ。ラストシーンに全てが凝縮されていることを考えれば、80分というのは長すぎるかもしれない。もうひとひねり欲しいな。もう少し言えば、あのラストシーンの後のループはどうなるのだろうか…。
そうそう、ヒロインがもう少し可愛いと良いんだが。

原題:SALVAGE
製作年:2006
製作国:アメリカ
時間:80
監督:ジェフ・クルック
ジョシュ・クルック
脚本:ジェフ・クルック
ジョシュ・クルック
撮影:ジョン・アシュモア
出演:ローレン・カリー・ルイス
クリス・フェリー
コディ・ダーベ
モーリーン・オランダー
ジョン・ブライリー

2008年4月12日土曜日

ヘアスプレー

ブロードウェイミュージカルを上手に映画にまとめたという感じ。さすがに舞台から受けるパワーと楽しさには敵わないけど、ノリとテンションは保っている。オープニングからエンディングまで、気が付けばつい音楽に合わせて体が動いてしまう癖のないライトコメディ。
M・ファイファーの小悪役ぶりやC・ウォーケンのファンキーな父親、Q・ラティファのビッグママが巧く機能している。J・トラヴォルタの特殊メイクは悪くない。歌も踊りもさすがだ。なんで彼が?という気もしなくもないが、観終わるとぴったりはまってる。本来の主題である人種差別に関しては舞台とは違い、かなりさらっと流していて、60年代のネガティブな部分が全くなくなってしまっているのは現代版らしさということろか。逆に言うとそのおかげで勢いが殺がれる事なく最後まで繋がったのだろう。
今回オーディションで選出されたN・ブロンスキーはかなり派手なデビューを果たしたわけだけど、今後のキャリアに期待。その他にも今後目立ってくるだろう若手がいるのでそれも期待。
うん、やっぱりミュージカルは楽しい。

原題:HAIRSPRAY
製作年:2007
製作国:アメリカ
時間:116
監督:アダム・シャンクマン
脚本:レスリー・ディクソン
オリジナル脚本:ジョン・ウォーターズ
ミュージカル脚本:マーク・オドネル
トーマス・ミーハン
撮影:ボジャン・バゼリ
出演:ジョン・トラヴォルタ
ニッキー・ブロンスキー
ミシェル・ファイファー
クリストファー・ウォーケン
クイーン・ラティファ
ザック・エフロン
ブリタニー・スノウ
アマンダ・バインズ
ジェームズ・マースデン
イライジャ・ケリー
アリソン・ジャネイ
ジェリー・スティラー
ポール・ドゥーリイ
ジョン・ウォーターズ
テイラー・パークス

2008年4月7日月曜日

ラッキー・ユー

全体的にはよくある話。若いギャンブラーが老獪な師匠(この作品では父親)に対してプライドと負けん気と敬意の狭間で苛立ちを感じながら育っていく。それに少しのスパイスとしてロマンスが絡む。クド過ぎず、重すぎず、かといって軽くもなく。まぁやっぱりよくある物語。それでも少し古い感じを出しながら、ベタで定番な展開を最後まで飽きずに観れたのは全体としてよくまとまっているからだろう。
E・バナは、割とメジャーな作品で脇を固めたり『ハルク』じゃ主役なんだけど残念ながらあまり記憶に残る役者じゃない。巧いけどスマート過ぎる感じだな。それをR・デュバルがきっちり支えている。それとポーカーのシーンに出演している人たちは本物のプロのプレーヤーらしく、それがゲームの雰囲気を作っているようだ。だから下手なゲームの演出がなくて現実味が増しているのだろう。
ロマンスは必要不可欠なものだけど、ハック(E・バナ)の情緒的変化にはあまり寄与していない感じがある。本来、親離れのための目標になるべき人物になるはずなのに、ロマンス部への依存度が低いために彼女がいなくてもストーリー的には破綻しなかったのではないだろうか。D・バリモアほどの役者を使う必要もなかった感じ。
ポーカープレイヤーという人たちとその世界を描くことが中心になっているので、それは十分に成功しているとは思うが、エンターテイメントとしてはあまり面白い作品とは言えなくなっている。そういう意味では『マーヴェリック』の足元にも及ばない。

原題:LUCKY YOU
製作年:2007
製作国:アメリカ
時間:124
監督:カーティス・ハンソン
原案:エリック・ロス
脚本:エリック・ロス
カーティス・ハンソン
撮影:ピーター・デミング
出演:エリック・バナ
ドリュー・バリモア
ロバート・デュヴァル
デブラ・メッシング
ホレイショ・サンズ
チャールズ・マーティン・スミス
サヴェリオ・ゲーラ
ジーン・スマート
ロバート・ダウニー・Jr

2008年4月6日日曜日

スケルトン・キー

K・ハドソンが観れるのは嬉しいが、基本的にメジャーな俳優が出演するホラーはあまり面白くないというイメージがあるので全く期待せずに観た。ところが、これがまた結構良い感じ。出演者が少なく、皆どこかで観たことのある役者なんだけど、最後まで脇見せずにいれたのは演技だけじゃなく脚本と演出が良かったからだろうか。そういえばオープニングクレジットのない映画も珍しい。
結局のところホラー色の強いサスペンスなのだが、最後の最後でオチにやられた。思い返せば散々伏線が張られているのに気付かない…というか後味の悪さが秀逸なので無意識に無視していたというか。
近年は科学的背景がないと重箱の隅を突っ込んで物語にのめり込めない悪い傾向があるんだが、これはその辺りを巧くぼかしているというか、キャロライン(K・ハドソン)に起こることと観客の意識を巧くリンクさせているところが絶妙。スケルトン・キー(親鍵)が意図する辺りもさすがというべきだ。
最後の数分で全てが明らかになるがこの救いのなさは正に古き良きホラー。劇場公開されなかったのは分かる気もするが勿体ない。

原題:THE SKELETON KEY
製作年:2005
製作国:アメリカ
時間:104
監督:イアン・ソフトリー
脚本:アーレン・クルーガー
撮影:ダニエル・ミンデル
出演:ケイト・ハドソン
ジーナ・ローランズ
ジョン・ハート
ピーター・サースガード
ジョイ・ブライアント

2008年4月5日土曜日

バス男

なんちゅーユルさ(笑)
いわゆる脱力系ムービーってやつなんだろうけど、ここまで徹底してヌルいのに途中飽きてこないのは凄いことだ。邦題で敬遠していた(オタク繋がりは理解できるが、あまりにもこじつけだろう。そのまんま“ナポレオン・ダイナマイト”の方がぴったりだと思う)んだけどこれは案外拾い物だった。
予備知識なしで観たから最初の30分までで、これはもしかしてメゲるかもしれないと心配したのだが、ちょうどいいタイミングで次から次へと展開していくので、ゆる~いながらも結構テンポは速い。学園モノとも青春モノとも微妙に違う、どこにでも居そうで中々見かけないちょっと(かなり?)ヘンな、愛すべきキャラクタたちの日常を描いた作品。軽すぎず、重くない。超低予算作品ながらアメリカのティーンに絶大な支持を受けたというのも分かる気がする。
それにしても主だったキャラクタもそれを演じる役者さんも皆良い感じ。ほとんど知らない役者さんだけど、あのヒラリー・ダフのお姉ちゃんだったり、『24』の2ndシーズンに出てる人だったり(これは写真を見ても全くの別人に見える)『ウォーター・ワールド』の子役だったり、その他観てるTVシリーズ等でちょこちょことどこかで見かけてるはずの役者さんがいた。ま、そんなことはどうでも良くて、エンディングロールの最後までちゃんとユルいままオチをつけて満足。休日の昼間にはぴったりのチョイスだった。

原題:NAPOLEON DYNAMITE
製作年:2004
製作国:アメリカ
時間:95
監督:ジャレッド・ヘス
脚本:ジャレッド・ヘス
ジェルーシャ・ヘス
撮影:マン・パウエル
出演:ジョン・ヘダー
エフレン・ラミレッツ
ジョン・グリース
アーロン・ルーエル
ディードリック・ベーダー
ティナ・マジョリーノ
サンディ・マーティン
ヘイリー・ダフ
トレヴァー・スナー ドン
ションドレラ・エイヴリー
エミリー・ティンドール

2008年4月2日水曜日

レッスン!

音楽に合わせて体を動かすっていうのはそれだけで楽しくなれるから凄い。いや、踊れないけど。ピエール(A・バンデラス)が「ほら、歩けたらもう踊れてる。」と言って軽いステップを踏むんだけど、なんだか羨ましくなった。社交ダンスは一人ではできないし(笑)
これ実話を基にした作品で、実在する社交ダンスに関して凄い経歴を持つピエール氏がニューヨークを基盤して全米中に今なお広がり続けているダンス教室を広める第一歩を描いている。「社交ダンスを教えることで、男の子は女性に対する敬意を、女の子には自信を、そしてお互いに信頼を得ることを教えているんですよ。」とPTAに説明するシーンがあるのだけど、ああ情操教育ってこういうものなんだろうなってストンと入ってきた。アメリカで生き抜くために強くありながら人の善意を受け取れる余裕を持つことが、どれほど大変かなんて日本でぬるく生きている僕には想像もつかないけど。
映画のできとしては今ひとつ感がある。絵的に地味なのかもしれないけど、元々ダンスの地力がある子達だからか社交ダンスが上達する風景が省かれているのと、大会に向けて皆で盛り上がっていく雰囲気が薄くて、幾つかのイベントをこなしたらいきなりラスボスの前に立っていたった上に、しかもラスボスがあっさり倒れて戦った手ごたえもない感じと言ったらわかるだろうか。全体として優等生的にジェントルにまとまっているが、踊り(躍り)足りない。実話としているわけではないんだから、もっと感情的にあざとくても良かったのではないだろうか。

原題:TAKE THE LEAD
製作年:2006
製作国:アメリカ
時間:117
監督:リズ・フリードランダー
脚本:ダイアン・ヒューストン
撮影:アレックス・ネポンニアシー
出演:アントニオ・バンデラス
ロブ・ブラウン
ヤヤ・ダコスタ
アルフレ・ウッダード
カティア・ヴァーシラス
ローラ・ベナンティ
ダンテ・バスコ
ジェナ・ディーワン
マーカス・T・ポールク
イライジャ・ケリー