2003年3月13日木曜日

リターナー

洋画と邦画を比べたときに画面から感じる違和感はなんだろうとずっと考えてた。フィルムの色質は置いておいて、言い出すとキリがないのは良く分かってるが、この作品ではっきりと感じたのがライティング。画面の隅々まではっきりと写しすぎ。美術スタッフの苦労は認めるが、もっと見せるべき部分と背景の差を出さないと画面が薄っぺらく感じる。それから粒子が綺麗すぎる。もっとザラついた感じのほうがスクリーンに現実味が出ると思うのは俺だけだろうか。
金城武って相変わらず台詞まわしがもたついてて、喋らされてる感があるのが残念だ。台詞自体もチープなんだけどね。
樹木希林はさすがに巧くて、情報屋・謝女史のスピンアウトで1本ストーリー作れそうなくらい魅力的。溝口(岸谷五郎)に関しては・・・悪役には向かないよなぁ。がんばってるだけに痛い。
アクションやメカ、ストーリー(厚みはないけど)すらパクリだと酷評する向きもあるが、それはそれで良いんじゃないか。別に破綻してるわけでもないし、ハリウッド的予算枠があるわけでもなし、結構イケてると思うのだが。SFに興味がなければ面白くないかもしれないが、地上波で観る分には損しないと思う。

原題リターナー
製作年2002
製作国日本
時間118
監督山崎貴
脚本山崎貴
平田研也
撮影柴崎幸三
佐光朗
出演金城武
鈴木杏
岸谷五郎
樹木希林

2003年3月12日水曜日

トリプルX

なんだかんだ言ってもアクションシーンは映画館で観るほうが楽しめるのは確か。しかし、007をかなり意識したとかしないとか聞くが、スパイモノとして観ると悲しいくらい内容が薄い。コミックならウケるかも。
V・ディーゼルは中々魅力的だね。マッチョな体と円らな瞳がアンバランスで良い。S・L・ジャクソンも軽く流してるというか楽しんでる感じやね。音楽と映像がスピーディで飽きないから軽く観るには良い。しかし続編があるとしてもこれだけのアクションを続けるのはストーリー的に難しいのではないだろうか?是非骨太な脚本で観てみたいね。

原題xXx
製作年2002
製作国アメリカ
チェコ
時間123
監督ロブ・コーエン
脚本リッチ・ウィルクス
撮影ディーン・セムラー
出演ヴィン・ディーゼル
サミュエル・L・ジャクソン
アーシア・アルジェント
マートン・ソーカス
マイケル・ルーフ

2003年3月11日火曜日

フィアー・ドット・コム

最近、やけにホラーに目がいく。公開前にたまたま見つけた連動サイト(現在は存在せず)で興味をそそられた作品。楽しみにして観てみれば・・・。
嫌でも『リング』と比べてしまう。ずいぶんと凝った演出だとは思うが、ホラーに良くある“映像と音で驚かせる”手法はなく、“痛そうで身を捩る”こともなく、ただ(本編の意図とは関係なく)インターネットという媒体に対する怖さを考えてしまった。フラッシュ的に挿入される痛々しい映像にあまり効果が出てないところが辛い。カギになる少女にも怖さを感じないのが致命的だな。ホラーというよりサスペンスだろうか。しかし、それにしては謎解きの要素はないし。切迫感はあるが、ただそれだけ。
怖くないホラーが面白いかと言われると辛いのだが、つい期待しながら観てしまう要素は沢山あった。2時間足らずに納めてしまうのは勿体無い。詰め込みすぎなのは仕方がないのか。“その人の一番怖い死に方”ってところに焦点が定まってたらもっと怖かっただろう。
・・・饅頭怖いってか。

原題FEAR DOT COM
製作年2002
製作国アメリカ
時間101
監督ウィリアム・マローン
原作モシュ・ディアマント
脚本ジョセフィーン・コイル
撮影クリスチャン・セバルト
出演スティーブン・ドーフ
ナターシャ・マケルホーン
スティーブン・レイ
ウド・キア
アメリア・カーティス

2003年3月10日月曜日

トランスポーター

これもまた、R・ベッソン的なずれた面白さがある。ストイックなプロの運び屋。たまたま自分のルールをたった一度破ってしまっただけにややこしい事件に巻き込まれる。設定は面白いのだが、ストーリーの背景が薄すぎる(それがベッソン脚本の面白さとも言える)。コメディと言い切れない面白さというか、単に中途ハンパなだけなのだが。J・ステイサムもカッコいいんだか3枚目なんだかよくわからん。『ダイ・ハード』のJ・マクレーン(B・ウィリス)を狙ってるのかな。軍隊経験のあるストイックなプロの運び屋の割には行動が行き当たりばったりだったり、強いんだか弱いんだかわかんないんだよな。タルコーニ警部(F・ベルレアン)の存在がなければまったく面白くないものになってたかもしれない。話の核になる事件があまりにもあまりにもだし(結末は言わずもがな)、それに巻き込まれていく様も事件の内容よりもライ(S・チー)に惚れただけだと思うとちょっと情けないというか無理があるだろう。
設定的には次回作もありえると思うので、登場人物よりもストーリーを魅力的にして欲しいと期待しよう。もう一度フランク(J・ステイサム)の活躍を観てみたいと思うのだ。

原題THE TRANSPORTER
製作年2002
製作国アメリカ
フランス
時間93
監督ルイ・レテリエ
脚本リュック・ベッソン
スティーヴ・チャスマン
撮影ピエール・モレル
出演ジェイソン・ステイサム
スー・チー
マット・シュルツ
フランソワ・ベルレアン

2003年3月9日日曜日

ゴーストシップ

CMを観て、観たいと思った。さぞかし怖いのだろうと。あの少女がビビらせてくれるだろうと。・・・残念だ。面白くなかったとは言わない。ラストシーンでは「やはりな」とニヤリとしたし(展開が読めるとも言う)。恐怖の原因があまりにも突飛(?)だと怖くない。いや、説明しすぎだからかもしれない。もっと何がなんだかわかんないままにしておいてももっと怖かったかもしれない。一番恐怖を掻き立てるのは“想像”だというのを何かで読んだ覚えがあるが、そのとおりだと思う。観客が恐怖を想像することに関して、監督はもっと信用しても良い。途中からアクション映画かと感じたのは間違いではないだろう。

原題GHOST SHIP
製作年2002
製作国アメリカ
時間91
監督スティーヴ・ベック
原作マーク・ハンロン
脚本マーク・ハンロン
ジョン・ポーグ
撮影ゲイル・タッタサール
出演ジュリアナ・マーグリーズ
ガブリエル・バーン
ロン・エルダード
イザイア・ワシントン

2003年3月8日土曜日

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

監督とキャスティングだけで観たいと思ってしまうのもどうかと思うがしかたないね。観終わってから「そういやスピルバーグが監督だったっけ」と思ったくらい、このところのスピルバーグの作品とは違う雰囲気。T・ハンクスも絡んでるし、フランクの背景をじっくりと描きだすようなもっとドラマ色の強い脚本になるのかと思ってた。ところがどっこい、観てみると60年代のポップさを軽快なタッチでコメディ風に仕上がってるし。とても実話とは思えない感じで(犯罪モノなのに)笑わせてもらった。まぁ、最後にしっとり落ち着くとこに落ち着くのはやはりスピルバーグだからか(ってどっちやねん)
それにしても、L・ディカプリオは少年を演じるのが巧い。M・J・フォックスの後を継いで欲しいものだ。欲を言えば、後半のところで年齢なりの落ち着きをもうちょっと出せればと思うのだが、あれは演出だろうか。
メンバーは豪華(C・ウォーケン!)だが、じっくり観るような作品ではないので、ポップコーン片手に「そんなバカな(笑)・・・でも実話なんだよなぁ」と画面に突っ込みながら観ると楽しめる。原作も(コメディではないと思うが)面白いらしいので、是非読んでみたい。

原題CATCH ME IF YOU CAN
製作年2002
製作国アメリカ
時間141
監督スティーブン・スピルバーグ
原作フランク・W・アバグネイル
スタン・レディング
脚本ジェフ・ナサンソン
撮影ヤヌス・カミンスキー
出演レオナルド・ディカプリオ
トム・ハンクス
クリストファー・ウォーケン
マーティン・シーン
ナタリー・バイ

2003年3月7日金曜日

クイーン・オブ・ザ・バンパイア

T・クルーズとB・ピットが美しかった前作『インタビュー・ウィズ・バンパイア』が8年前。あれは良かった。原作であるA・ライスのレスタトシリーズは大好きなのだ。今回も期待しないではいられない。しかし、映像化がどれだけ難しいかもよく理解してたつもり。だからこそどんな風に魅せてくれるかと楽しみだった。・・・ま、やっぱりというべきか。
飛行機事故で急逝したアリーヤの遺作として少しだけ話題になったが、残念ながら彼女の魅力は石造であったときが一番良かった。S・タウンゼントはレスタトとして怖いほど魅力的であったが、前作ほどの荘厳さが全体に欠けていたためにイマイチ光らない。どうも観客を無視したような感じだったのは気のせいだろうか。監督の(もしかして製作の)自己満足作品に終わってる気がする。

原題QUEEN OF THE DAMNED
製作年2002
製作国アメリカ
時間111
監督マイケル・ライマー
原作アン・ライス
脚本スコット・アボット
マイケル・ペトローニ
撮影イアン・ベイカー
出演スチュアート・タウンゼント
アリーヤ
マーガリート・モロー
ヴァンサン・ペレーズ

2003年3月6日木曜日

ブレイド2

えーっと・・・W・スナイプスは相変わらずカッコいい!!・・・だけじゃダメですか?
こんなところでっ!?と嬉しくなったのがR・パールマンが出てたこと。ゴリラ顔の彼をチャーミングだと思うのは間違ってるかね。エイリアン4で好きになった役者さんなんだが。だから最期があっけないのが非常に残念だ。もっとカッコよくがんばって欲しかったものだ。
脚本については何も言うまい。続編が作られないだろうということも今更言うまでもないことだ。前作であれだけカッコよかったブレイド(W・スナイプス)の見せ場も(あるにはあったが)魅せられるほどではなかったことが残念といえば残念。しかし撮影技術は格段に進歩してるので、そういう意味では観ていて楽しかった。

原題BLADE II
製作年2002
製作国アメリカ
時間118
監督ギレルモ・デル・トロ
脚本デヴィッド・S・ゴイヤー
撮影ガブリエル・ベリスタイン
出演ウェズリー・スナイプス
クリス・クリストファーソン
レオノア・ヴァレラ
ルーク・ゴス
ロン・パールマン

2003年3月5日水曜日

マイノリティ・リポート

酷評も一杯されてたようだが、そこはそれ。勝てない阪神を見守る阪神ファンの心理ということで。
近未来のアイディア満載の観てて楽しい映画には仕上がってる。サスペンスとしては消化不良になるが、画面の隅々まで観る楽しみがあって良かったと思う。原作では題名である『マイノリティ・リポート(少数報告)』が深い意味を持つのだが、映画ではそれほど大事にされてない。ってゆーかその意味がストーリーの中核であるはずなんだが、その辺りは映画では語られていない。原作の“犯罪予防局”というアイディアだけを取って別の話にしてしまったようだ。ま、そうでもしないと短編小説が140分を超える映画にはならないのかもしれないが。
惜しむらくは、映像が綺麗なだけに、暗さより派手さをとってサスペンス色よりもアクション色を出してほしかったということか。時間を置いて2回目に観たときにどう感じるか。いや、それ以前にもう一度観たいと思うかどうか。

原題MINORITY REPORT
製作年2002
製作国アメリカ
時間145
監督スティーヴン・スピルバーグ
原作フィリップ・K・ディック
脚本ジョン・コーエン
スコット・フランク
撮影ヤヌス・カミンスキー
出演トム・クルーズ
コリン・ファレル
サマンサ・モートン
マックス・フォン・シドー
ロイス・スミス

2003年3月4日火曜日

トータル・フィアーズ

トム・クランシー原作ってだけで、それなりの完成度にはなってると思ってた。しかも製作総指揮に名前を連ねるくらいだしね。まぁ、娯楽映画としては楽しめた。それなりに緊張感もあるし、アメリカ首脳陣のバカ&短絡さ加減(これはライアン(B・アフレック)を際立たせるためだろうが)には十分に笑えたし。それに比べてロシア大統領は漢だ。M・フリーマンはいつもの如く渋さ満載なのだが、如何せん出番が少ない。もっと活躍してほしかった。
ところで、アメリカ本土で核兵器を使った初めての映画だとか言われて評価を得ていたと記憶しているのだが、あれじゃ核兵器というには・・・。フィクションと割り切るにしてもちょっと・・・。もっと悲惨さを出すべきなんじゃないかと思うのは日本人だからだろうか?ストーリー的にも核兵器が実際に使われたにしてはあっさり収束しちゃった感が否めない。もっとヒステリックになるはずだ。そういう意味でも通常爆弾にしておいたほうが良かったのではないだろうか?題名である“恐怖の総和”というのもあの爆発がなくても十分に伝わったと思う。
ところで、J・ライアンシリーズはパラレルワールドとして進化していくのだろうか?

原題THE SUM OF ALL FEARS
製作年2002
製作国アメリカ
時間124
監督フィル・アルデン・ロビンソン
原作トム・クランシー
脚本ポール・アタナシオ
ダニエル・パイン
撮影ジョン・リンドレー
出演ベン・アフレック
モーガン・フリーマン
ジェームズ・クロムウェル
シアラン・ハインズ
マイケル・バーン

2003年3月3日月曜日

バニラ・スカイ

T・クルーズのナルぶりはいつものことだが、今回はP・クルスに惚れてる(共演したから惚れた?)のが全編を通して生々しいくらい見て取れた。先入観あり?
映像の雰囲気も音楽もスタイリッシュな感じでサスペンスなストーリーとミスマッチなところが巧くはまってる。夢と現実のアンバランスさというところか。
C・ディアスのキレた演技はいいね。あの目は彼女ならではだ。しかし、P・クルスと逆のキャスティングの方がしっくりするような気がする。いや、敢えてニコール・キッドマンっていうのもありかもしれないと感じるのはワイドショー的感覚だけじゃないと思うのだがどうだろう?
そうそう、K・ラッセルが創り出す画面の雰囲気はたるみかけた流れをしっとりと押さえてくれて良かったのだが、謎解きの部分でオタオタするシーンが妙に浮ついててファンとしては悲しかった。
全体的に綺麗なラブストーリーなのに最後にSFチックな設定をする必要があったかどうかは疑問。現代風にアレンジというところかもしれないが、別に科学的な説得力を持たせなくても良かった。逆に陳腐な感じを受ける。
そうそう、MI:2のDVDに収録されていたT・クルーズのインタビューで、彼が“高いところから飛び降りるのが好きだ”とコメントしてたが、今回のラストでもやっぱり飛び降りるのねと笑ってしまった。

原題VANILLA SKY
製作年2001
製作国アメリカ
時間137
監督キャメロン・クロウ
原案アレハンド・アメナバール
マテオ・ヒル
脚本キャメロン・クロウ
撮影ジョン・トール
出演トム・クルーズ
ペネロペ・クルス
キャメロン・ディアス
カート・ラッセル
ジェイソン・リー

2003年3月2日日曜日

バンディッツ

B・ウィリスっていうと『ダイ・ハード』が真っ先に浮かぶかもしれないが、『ブルムーン探偵社(TV)』のイメージが強いし、出演作を並べるとこういったライトコメディが大好きな(得てして興行的には失敗してるが)役者さんだよな。今回もやっぱりかと思ったものの、嫌いじゃないんだよなぁ。ファンとしてはこれからもこの路線で行って欲しいんだが大ヒットするジャンルじゃないし、難しいところだ。B・B・ソーントン(調べて気が付いたがB・ウィリスとは『アルマゲドン』で共演してたのね。しかも、A・ジョリーの旦那だと!)との掛け合いもちぐはぐさが微笑ましい。大笑いはしないが妙にはまった二人だ。
C・ブランシェットに関しては・・・あんまりかな。テリー(B・B・ソーントン)はともかく、ジョー(B・ウィリス)があそこまで入れ込むようなキャラには観えなかったし。少し中途半端な感じ。
ストーリーは途中、中だるみがあって少し辛いがドラマ性を重視したんだろうね。最後はお約束的どんでん返しで落ち着くところに落ち着く。ロードムービーと言っても良いような脚本だが、全体を思い返すと全てにおいて中途半端。しかし、どうすれば良いか思いつかないから、これはこれで良くも悪くもまとまってるんだろうなぁ。

原題BANDITS
製作年2001
製作国アメリカ
時間124
監督バリー・レヴィンソン
脚本ハーレイ・ペイトン
撮影ダンテ・スピノッティ
出演ブルース・ウィリス
ビリー・ボブ・ソーントン
ケイト・ブランシェット

2003年3月1日土曜日

スナッチ

こういう作品好き。面白かった。
Q・タランティーノと比較されがちなG・リッチーだそうだが、確かに『パルプ・フィクション』を思い出すような撮り方。こっちのほうがよりカメラワーク的な多層構造になってるようだけど。PVとか得意そうな監督だな。
登場人物が多くて名前を覚えるのが苦手だから序盤は戸惑ったが、展開が早くてぐいぐい引っ張られてすぐに気にならなくなった。誰に感情移入するかで観方が全然違ってきそう。初見では語り手であるJ・ステイサム(『ザ・ワン』『トランスポーター』と記憶に新しいせいもあってか)の視点で観た。
随所に出てくる笑いもツボにはまって最初から最後まで笑わせてもらったし(コメディのジャンルに入れても良いくらいだ)、B・ピット(作品を見るたびに好きになる)はもちろん、D・ファリナもR・シェルベッジアもV・ジョーンズも皆イイ。登場人物が多いせいで一人一人の背景の掘り下げは浅いが、それを補うに余りある魅力とパワーを感じた。
G・リッチーのデビュー作『ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』も面白いらしいので是非観てみたい。

原題SNATCH.
製作年2000
製作国アメリカ
時間102
監督ガイ・リッチー
脚本ガイ・リッチー
撮影ティム・モーリス=ジョーンズ
出演ベニチオ・デル・トロ
デニス・ファリナ
ヴィニー・ジョーンズ
ブラット・ピット
レイド・セルベッジア
ジョエイソン・ステイサム