2004年10月11日月曜日

コラテラル

T・クルーズが演じる初の悪役ということでかなり期待した。が、まぁそこそこという印象。
煌びやかなロスの裏側で一晩のうちに起こる事件がスピーディに展開していく脚本は面白かったが、折角のヴィンセント(T・クルーズ)のキャラクター背景がイマイチ映像化されてなくて残念。どちらかというとマックス(J・フォックス)に感情移入させて、ヴィンセントは謎の殺し屋という立場で作られているのだろうが、俳優としての存在感がそれを許さなかった。これはJ・フォックスがT・クルーズを食ってしまうほどじゃないということもあるが、観客としてはT・クルーズを観に来ているので、どうせなら、彼にスポットを当てるべきだった。
クールで完璧な殺し屋がちょっとしたことから計画が破綻して狂っていく様を前面に出すのだから、もう少し彼に関する前置きが必要。あのままだと初めからいきあたりばったりで殺しを繰り返していく無計画な奴としか見えない。マックスに固執する意味が全くないし。
白髪にして、殺し屋としてかなりのトレーニングをしたというT・クルーズはさすがにカッコよかった。あのとってつけたようなスマイルも極力抑えられていて渋かっただけに、そのキャラクターに深みがなかったのが残念だ。
ちょっと調べてみると、脚本段階でマックスは売れないコメディ作家がバイトでタクシー運転手をやっているという設定だったらしい。しかも最初の段階でキャスティングがアダム・サンドラーだったというから驚き。出来上がった作品は、完全なサスペンスだが、当初はコメディタッチだったのだろうか。それはそれで観てみたい気もする。
結局はリムジン会社のオーナーを夢見るという設定になり、タクシーの中でやり取りする会話に多少ユーモアを盛り込んだという程度に抑えられている。T・クルーズが活躍するならこれはやっぱり正解だったのだろう。
展開としては最後までびっくりやどんでん返しはなく予想通りなのだが、ラストはしっとりとして良い。あぁ、だからこそ、ヴィンセントのキャラクターに厚みを持たせて欲しかった。M・マン監督らしいCGや派手なアクションを前面に出す撮り方ではなく、男臭い雰囲気を描く人だが、『ヒート』や『アリ』を観ても肝心なところで踏み込みが足りないのも事実だからなぁ。勿体無い。
どうしても彼ら二人のストーリーなので他はおざなりになりがちなのは分かるが、ちょっとびっくりしたのはロス警察のファニング(M・ラファロ)の扱い。あんなにあっさりで良いのか?それと、オープニングでジェイソン・ステイサムがちらっと出てるのだが、後で絡んでくるのかと期待したらほんとにちょい役だった。個人的にはかなり残念。

原題COLLATERAL
製作年2004
製作国アメリカ
時間120
監督マイケル・マン
脚本スチュアート・ビーティー
撮影ディオン・ビーブ
出演トム・クルーズ
ジェイミー・フォックス
ジェイダ・ピンケット=スミス
マーク・ラファロ
ピーター・バーグ
ブルース・マッギル
イルマ・P・ホール
バリー・シャバカ・ヘンリー

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