色んな意味で綺麗な作品だったというのが印象。ギャング映画だという認識はなかったから、舞台背景に対する違和感は特にない。しかし、子を守る父の姿を“感動的に”・・・という意味では大いに違和感があった。映像は美しい。氷に身も心も閉ざされたオープニングシーンから、サリヴァン親子の距離が縮まるにつれ画面から温かみが感じられるようになる。銀行強盗を続ける辺りでは、ちょっとした笑いを含ませたり、クライマックスでは雨と無音とマイケル(T・ハンクス)の微妙な表情で切なくなったり、ラストシーンでは、先の展開が読めていても息苦しくなったりと、それなりに良かった。しかし、全体的に映像優先で、あっさりと描かれすぎててドラマに重みがない。原作が『子連れ狼』の翻訳コミックだと聞いた。原題の“PERDITION”には土地の名前の他に“墜獄”“魂の喪失”“滅亡”などの意味があるそうだ。しかし主題であろうはずの、この道を突き進むことを選んだルーニー親子(P・ニューマン、D・クレイグ)とそこから抜け出そうとしたサリヴァン親子(T・ハンクス、T・ホークリン)の対比が、今一つ響いてこなかったのが残念。
T・ハンクスは威厳を出したかったようだが、あのふっくらとした顔からは、威厳も殺し屋としての強さも感じられなかった。逆に痩せた方がシャープさの中にある強さが出て良かったんじゃなかろうか。P・ニューマンは、年老いたなという印象が先に立ってしまった。わざとかもしれないが、全体的にもう一つ存在感が薄い。息子を「呪ってやる」と言いながら抱きしめるシーンは、本来ボスの顔から父親の顔へ大きく変化する重要な場面のはずが落差があまりないままだったのが悔やまれる。J・ロウにしてもサイコぶりは良かったが、それが目立ちすぎていて浮いてしまっている感がある。ストーリー展開上適度な緊張感を持たせる役回りなのだが、目立つ分変に期待して、脚本上、最後まで裏切られてしまった。勿体無い。
突っ込めば幾らでも不満はあるのだが、飽きさせずに最後まで観ることができるのは、メランコリックで綺麗な映像と、多少のミスキャスト感はあるものの、さすがに実力派俳優達の存在感のお陰だろう。
| 原題 | ROAD TO PERDITION |
| 製作年 | 2002 |
| 製作国 | アメリカ |
| 時間 | 119 |
| 監督 | サム・メンデス |
| 原作 | マックス・アラン・コリンズ |
| 脚本 | デヴィッド・セルフ |
| 撮影 | コンラッド・L・ホール |
| 出演 | トム・ハンクス ポール・ニューマン タイラー・ホークリン ジュード・ロウ ダニエル・クレイグ スタンリー・トゥッチ ジェニファー・ジェイソン・リー |

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